塩分の話
2017年07月02日
ハナノカイヌシ at 10:49 | Comments(2) | 病気の話
以前にはなさんの手作りご飯の記事でちょっと触れたのですが、
やっぱり書いておいたほうがいいなと思うことがあったので、
今日は犬と塩分のお話。
最近、ワンちゃんに手作り食を与えている方、増えましたよね。
手作り食を与えている方、ちゃんと塩分加えていますか?
「犬にも塩分は必要」って、ちょっと調べればすぐに出てくることなんですけれど、
いまだに手作り食の方でも「犬に塩分はダメ」と思っていらっしゃる方のほうが多い様子。
また、
「必要なことはわかっていても、多すぎると体に悪いから
素材にも塩分は含まれているし、あえて加えることはしていない」
という方も…。
前にも言いましたが、食事で摂取されるビタミン・ミネラル・栄養素は
「体に悪い」と言われているものでも体に不必要なものはないのです。
とりすぎになりやすいものが「体に悪いもの」といわれ、
不足しやすいものが「体にいいもの」と言われているだけです。
でも、ちょっと考えてみてください。
体に悪いといわれているもの「塩分」「糖分」「脂肪分」全部、
すごくおいしいと思いませんか?
ま、おいしいから取りすぎになりやすくて、「体に悪い」と言われてしまうのですが…。
では、なんでこんなにおいしく感じてしまうのでしょう?
はい、ここ大事。チェックしてくださいね。
生きていくために最重要だからだよ( ✧Д✧)!!
塩分に含まれるナトリウムは、体の中でいろいろな働きをしています。
まず、体の水分バランスの維持に不可欠で、不足してくると脱水を起こします。
このため、肌の乾燥や低血圧からくるめまいやふらつきを起こします。
また、消化吸収にもかかわるので、ナトリウム不足で食欲の低下などの消化器症状も現れます。
さらに筋肉の伸縮や神経伝達にも必要なので、体がだるくなり無気力になります。
本当に低下してくるとけいれんや嗜眠、意識障害などまで起こってきます。
脱水による血液濃度の上昇で循環が悪くなり、筋肉の運動性の低下により熱の産生が低下して体が冷えやすくもなります。
このようにナトリウムは生き物の生命活動にとても重要なものなので、
血中ナトリウム濃度が低下してくると、これ以上低下しないように体が防御を始めまることで
別な症状が出てくることもあります。
例えば、水分を減らすことで血中ナトリウム濃度を上げようとするため、下痢、嘔吐、頻尿が起こりやすくなります。
塩分過剰は心臓や腎臓に悪い、と思っている方も多いと思いますが、
塩分が足りなくなると心臓の筋肉の動きも悪くなりますし、
水分や塩分の調整を行っている腎臓にも負担がかかります。
骨の中のナトリウムを利用しようとするため骨がもろくなります。
そして、それでも対応できなくなると死に至ります。
塩分不足、結構怖いです。
人が自分の食事で減塩する場合、低ナトリウム血症を起こすリスクはそんなに高くないと思います。
からだが必要とするから、厳密な塩分制限はできません。
でも、人が完全に食事をコントロールしている犬の場合、
「犬に塩分はいけないのよね~」と飼い主さんが考えて、
食事に調味料を加えず、さらに素材そのものの塩分量が多い煮干しなどを控えて…
なんてことをしていると、案外簡単に低ナトリウム血症になってしまいます。
普段からおとなしく、食が細くて下痢や嘔吐をしやすく、皮膚がカサカサでふけが多い…
「健康にも気を使ってご飯は手作りなのに、うちの子、体が弱いのよ~」って思っていたら塩分不足…
なんてこともあるかもしれませんよ。
あ、でも市販のドッグフードにはちゃんと塩分が添加されているので、
ドッグフードを食べている子は塩分不足の心配はほとんどありません。
あづみの動物病院
安曇野市豊科4311-1
0263-87-3095
ただいまフルタイムのスタッフ(人)を募集しています。
ランキングに参加しています。
よろしければポチッとひと押しお願い致しますm(_ _)m
やっぱり書いておいたほうがいいなと思うことがあったので、
今日は犬と塩分のお話。
最近、ワンちゃんに手作り食を与えている方、増えましたよね。
手作り食を与えている方、ちゃんと塩分加えていますか?
「犬にも塩分は必要」って、ちょっと調べればすぐに出てくることなんですけれど、
いまだに手作り食の方でも「犬に塩分はダメ」と思っていらっしゃる方のほうが多い様子。
また、
「必要なことはわかっていても、多すぎると体に悪いから
素材にも塩分は含まれているし、あえて加えることはしていない」
という方も…。
前にも言いましたが、食事で摂取されるビタミン・ミネラル・栄養素は
「体に悪い」と言われているものでも体に不必要なものはないのです。
とりすぎになりやすいものが「体に悪いもの」といわれ、
不足しやすいものが「体にいいもの」と言われているだけです。
でも、ちょっと考えてみてください。
体に悪いといわれているもの「塩分」「糖分」「脂肪分」全部、
すごくおいしいと思いませんか?
ま、おいしいから取りすぎになりやすくて、「体に悪い」と言われてしまうのですが…。
では、なんでこんなにおいしく感じてしまうのでしょう?
はい、ここ大事。チェックしてくださいね。
生きていくために最重要だからだよ( ✧Д✧)!!
塩分に含まれるナトリウムは、体の中でいろいろな働きをしています。
まず、体の水分バランスの維持に不可欠で、不足してくると脱水を起こします。
このため、肌の乾燥や低血圧からくるめまいやふらつきを起こします。
また、消化吸収にもかかわるので、ナトリウム不足で食欲の低下などの消化器症状も現れます。
さらに筋肉の伸縮や神経伝達にも必要なので、体がだるくなり無気力になります。
本当に低下してくるとけいれんや嗜眠、意識障害などまで起こってきます。
脱水による血液濃度の上昇で循環が悪くなり、筋肉の運動性の低下により熱の産生が低下して体が冷えやすくもなります。
このようにナトリウムは生き物の生命活動にとても重要なものなので、
血中ナトリウム濃度が低下してくると、これ以上低下しないように体が防御を始めまることで
別な症状が出てくることもあります。
例えば、水分を減らすことで血中ナトリウム濃度を上げようとするため、下痢、嘔吐、頻尿が起こりやすくなります。
塩分過剰は心臓や腎臓に悪い、と思っている方も多いと思いますが、
塩分が足りなくなると心臓の筋肉の動きも悪くなりますし、
水分や塩分の調整を行っている腎臓にも負担がかかります。
骨の中のナトリウムを利用しようとするため骨がもろくなります。
そして、それでも対応できなくなると死に至ります。
塩分不足、結構怖いです。
人が自分の食事で減塩する場合、低ナトリウム血症を起こすリスクはそんなに高くないと思います。
からだが必要とするから、厳密な塩分制限はできません。
でも、人が完全に食事をコントロールしている犬の場合、
「犬に塩分はいけないのよね~」と飼い主さんが考えて、
食事に調味料を加えず、さらに素材そのものの塩分量が多い煮干しなどを控えて…
なんてことをしていると、案外簡単に低ナトリウム血症になってしまいます。
普段からおとなしく、食が細くて下痢や嘔吐をしやすく、皮膚がカサカサでふけが多い…
「健康にも気を使ってご飯は手作りなのに、うちの子、体が弱いのよ~」って思っていたら塩分不足…
なんてこともあるかもしれませんよ。
あ、でも市販のドッグフードにはちゃんと塩分が添加されているので、
ドッグフードを食べている子は塩分不足の心配はほとんどありません。
あづみの動物病院
安曇野市豊科4311-1
0263-87-3095
ただいまフルタイムのスタッフ(人)を募集しています。
ランキングに参加しています。
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この記事へのコメント
初めてコメントさせていただきます。
いつもチャシロのハナちゃんのお話、楽しく読ませていただいています♪
ハナちゃん、一度お会いしたい…(笑)
塩分って確かに皆さん「あげちゃだめ!」ってなりますよね。
人間のものもあげちゃダメって言われることがほとんどですし。
でもこれって、犬猫さんにとって絶対に駄目って言われる食材は別ですけど、「(味付けがこくなっている)人間のものはあげちゃだめ」って言う事だと思っています。
犬猫さんの塩分摂取量は人間の6割程度と言われていますし、ちゃんと摂取していないと色々不具合が起きて当然ですよね・・・
これからの時期、熱中症対策でお水ガバガバ飲ませる飼い主さんもいらっしゃいますけど、人間と一緒で経口補水液などでミネラル摂取も気をつけてほしいなぁと思う今日この頃です。
若輩獣医師の戯言でした(笑)
いつもチャシロのハナちゃんのお話、楽しく読ませていただいています♪
ハナちゃん、一度お会いしたい…(笑)
塩分って確かに皆さん「あげちゃだめ!」ってなりますよね。
人間のものもあげちゃダメって言われることがほとんどですし。
でもこれって、犬猫さんにとって絶対に駄目って言われる食材は別ですけど、「(味付けがこくなっている)人間のものはあげちゃだめ」って言う事だと思っています。
犬猫さんの塩分摂取量は人間の6割程度と言われていますし、ちゃんと摂取していないと色々不具合が起きて当然ですよね・・・
これからの時期、熱中症対策でお水ガバガバ飲ませる飼い主さんもいらっしゃいますけど、人間と一緒で経口補水液などでミネラル摂取も気をつけてほしいなぁと思う今日この頃です。
若輩獣医師の戯言でした(笑)
Posted by 山葵の母ちゃん at 2017年07月04日 14:36
山葵の母ちゃんさま
コメントありがとうございます。
私もドッグフードを食べている子のおやつとして与えるものには「味付けはしないで」とお伝えするのですが、手作りのフードだけを食べている子に関しては、最近「ちゃんと塩分も加えていますか?」と聞くようにしています。
最近は手作り食を与える飼い主さんも多いですけど、人間で栄養の欠乏による疾患を起こすことがほとんどあり得ないせいか、飼い主さんにも栄養の偏りに対する危機感がなくて怖いと思います。
インターネットでもちゃんとした知識のない方が、良かれと思って(←これほんとに怖い)どこかで聞きかじってきた情報を根拠を確認することもなくインターネットに載せていて、また飼い主さんたちもその情報を精査することなく鵜呑みにしているというのがとても怖いです。
先日、見かけたのは「犬に与えてはいけないもの:マグネシウムの含まれる食品 理由 尿結石ができるから」っていうのがありました。
これ、完全手作り食の飼い主が鵜呑みにしたら、犬、死にますよね"(-""-)"。
今までは、ドッグフード全盛だったので、獣医もあまり栄養性疾患に対する知識を持っていなかったと思いますが(というか私にはない( ;∀;))、これからは栄養性疾患の知識ももっとつけていかなくてはいけないなと思いました。
もう若くないのにいつまでも若輩獣医師なハナノカイヌシより
コメントありがとうございます。
私もドッグフードを食べている子のおやつとして与えるものには「味付けはしないで」とお伝えするのですが、手作りのフードだけを食べている子に関しては、最近「ちゃんと塩分も加えていますか?」と聞くようにしています。
最近は手作り食を与える飼い主さんも多いですけど、人間で栄養の欠乏による疾患を起こすことがほとんどあり得ないせいか、飼い主さんにも栄養の偏りに対する危機感がなくて怖いと思います。
インターネットでもちゃんとした知識のない方が、良かれと思って(←これほんとに怖い)どこかで聞きかじってきた情報を根拠を確認することもなくインターネットに載せていて、また飼い主さんたちもその情報を精査することなく鵜呑みにしているというのがとても怖いです。
先日、見かけたのは「犬に与えてはいけないもの:マグネシウムの含まれる食品 理由 尿結石ができるから」っていうのがありました。
これ、完全手作り食の飼い主が鵜呑みにしたら、犬、死にますよね"(-""-)"。
今までは、ドッグフード全盛だったので、獣医もあまり栄養性疾患に対する知識を持っていなかったと思いますが(というか私にはない( ;∀;))、これからは栄養性疾患の知識ももっとつけていかなくてはいけないなと思いました。
もう若くないのにいつまでも若輩獣医師なハナノカイヌシより
Posted by ハナノカイヌシ at 2017年07月04日 16:53