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特発性前庭障害

2022年03月01日

 ハナノカイヌシ at 16:11  | Comments(6) | 病気の話



はなさんがこの間なったお目目ぐるぐる病(←ボスが勝手につけた)、またの名を「特発性前庭障害」。
病名の前に「特発性」とついたら、だいたい原因がわからないのね~と思っていてください。

この病気、お年寄りのわんこに比較的よくみられます。
ある日突然、わんこがふらついて立てない、歩けないという状態になります。
この時、お目目をよく見たら、
目が勝手に多くの場合横に(縦や斜めの場合もあります)
勝手に動いてるのがわかると思います。
いわゆる目が回っている状態です。


原因不明、検査をしても特に異常が見つからず、
2週間ほどで自然に治るといわれています。


本当に昨日までなんの問題もなかった子に突然起こるので、
びっくりするでしょうが、まずは落ち着いてわんちゃんの安全を確保してください。

ボスの場合は、階段前にありあわせのものでバリケードを作って、
ネットでわんこ用ゲートをポチっとしました。

それから速やかに病院に受診。
お目目がぐるぐるになる病気はほかにもあるので、病院できちんと診断してもらってください。

確定診断はMRIなどが必要になりますが、
そこまでの設備はない場合が多いですので、
耳に異常がないか、だとか目が回っている以外の神経症状がないかなどを調べて、
除外診断をすることになります。


治療法は基本的にありません。
ただ、目が回って船酔い状態になって、吐いたり食欲がなくなったりするので、
吐き止めを使ったり、脱水を起こさないように点滴をしたりするのが主です。

ステロイドを使う先生もいらっしゃいます。
ただ、脳の精密検査を考えている場合、先にステロイドを使ってしまうと、
本当の病気が見つかりにくくなる場合もあるので、先生とよく相談して使ってください。

はなさんは最初吐き止めだけで様子を見ていたのですが、
食欲までなくなってきたのでステロイドを使い、それで食欲が回復しました。


特発性前提疾患は、最初にも書きましたが2週間ほどで自然によくなる病気です。

はなさんも外から見て明らかに目が回っている状態は5日ほど、
足のふらつきは2週間ほどでよくなりました。

「斜頸」と言って首をかしげた状態になって、それが戻らず残ってしまうことがありますが、
命にかかわるようなことはありません。

飼い主さんも落ち着いてお世話してあげてください。




あづみの動物病院
安曇野市豊科4311-1
0263-87-3095


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こんなこともあるのね。

2018年10月21日

 ハナノカイヌシ at 10:15  | Comments(0) | 病気の話
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ボランティアさんの活動資金に充てられます。
カレンダーの購入のみのご来院も歓迎いたします。
よろしくお願いいたします。





先日、猫さんがぐったりしてご飯を食べなくなったといってやってきました。
この猫さんは中外自由の生活をしているので、
今までも時々けんかをして膿瘍を作ってやってきていました。

体温を測ってみたら高熱が出ていたので、
体を触っても傷は見つからなかったのですが、
まずは抗生剤を注射して帰ってもらいました。

翌日、様子が変わらないと再来院。
熱が下がっていなかったので、抗生剤を変更して注射。

しかし、翌日も様子が変わらないとのこと。
昨日より少し熱は下がっていたものの、まだまだ高い。
血液検査をして、白血球の上昇以外は大きな問題はなし。
エイズ・白血病両方陰性。
ほかの血液検査結果から、多分違うと思いましたが
念のためにFIPの検査を外注(のちに陰性との結果が来ました)。
レントゲンでも異常はなし。
エコーでも異常なし。

とりあえず、入院させて点滴と抗生剤の注射、
今までと違う抗生剤のお薬も内服で投与。
流動食を強制給餌。

さてさて、これからどうしよう?と思っていたら、
翌日にはお熱がグーンと下がっていました。

飼い主さんと相談してもう一日入院。
翌日には熱心に毛づくろいを始めるくらい元気になっていたので、退院へ。

するとその翌日、やっぱりぐったりしていて何も食べないとお電話が。
連れてきてもらうと、またお熱が高くなっています。

なぜだ?

でも、そもそも、入院してなんでよくなったかもよくわからなかったんですよね。
「変更した抗生剤が効いたにでしょう」と飼い主さんには説明したのですが、
私の中ではなんとなく納得いってませんでした。

そこで、「家の中に原因があるんじゃないか?」とおもって、
「最近、何かおうちで変わったことありませんでした?」って聞いてみると、
「そういえば、天井の修理をして、その部屋が臭くて私もその部屋にいると気分が悪くなるのよねえ」と…。
いつからか聞いてみると、猫さんが具合が悪くなる4日前からだそうで…。
ものすごく怪しい…と思い、とりあえず猫さんを入院させて、
何にもしないで様子をみることにしました。
それでよくなったら、おうちが原因でしょうということで。

で、結果は…翌朝には熱も下がってごはんももりもり食べ始めてくれました。
飼い主さんに連絡して、もう一日入院させるので、
その間に匂う部屋だけではなく、家全体をしっかり換気してもらうようにお願いしました。

シックハウス症候群では、換気が何より大切らしいですが、
一部屋だけが問題でも、家全体を換気しないと意味がないそうです。

そして、退院。

これでまたお熱が出たらどうしよう…と心配しながらでしたが、
その後は元気でいてくれているようです。

調べてみると、猫にもシックハウス症候群ってあるみたいですね。
呼吸器症状が出ることが多いみたいですが。

皆さんも、リフォームの際にはお気を付けください。




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マダニ予防

2018年08月26日

 ハナノカイヌシ at 18:55  | Comments(4) | 病気の話
当院地方は田舎(失礼)のせいか、
「うちの子、ダニなんてついてるの見たことないから、
マダニのお薬なんて使わなくていいわ~」
って言っている人、結構いるのですが、
そういう方に問いたい。


あなたのわんこのモフモフの体に、こんなマダニがついていたとして、
ちゃんと見つける自信はありますか?

ゴマ粒どころか芥子粒(アンパンにくっついているツブツブ)よりも小さいです。
「おなかにマダニが付いている」と言って見せられて、
一瞬「汚れですよ」と言おうとして、よく見たらやっぱりマダニでした。
肉眼でかろうじて足が見える程度。
飼い主さん、よく見つけたなあと思います。
すごすぎる…。

マダニの駆除は、マダニに刺されないことを目的としているのではなく、
マダニが媒介する感染症を予防することを目的としています。

マダニはいろいろな病気を発症するのですが、
一番怖いのはバベシア症ではないかと思っています。

西日本に多く、長野県ではほとんど発症がない病気ではありますが、
最近は温暖化が進んでいるので、いつ長野県で発生してもおかしくないと思っています。
(長野県、観光が盛んでいろんな地域からわんこ連れて人が来ていますし。
そのわんこがバベシア持ったマダニをお土産で置いていく可能性は十分あります。)


先日も血尿・膀胱炎で治療してもらったのに、
翌日どんどん体調が悪くなってきたと言って転院してきたわんこが実は血色素尿で
ひどい溶血性貧血を起こしていて、大量輸血が必要そうだったので、
慌てて輸血のできる病院へ転院してもらったものの、治療の甲斐なく亡くなった
ということがありました。
(血色素尿:血管の中で赤血球が壊れて赤血球の赤い色素がおしっこの中に出てくること。
血尿も血色素尿も同じような色ですが、
血尿だと遠心分離すると赤血球が沈殿して黄色いおしっこと赤い沈殿物に分かれるのに対し、
血色素尿だと遠心分離しても全体が赤いままです)

その子もマダニのお薬は使ってなかったということで、
「まさかバベシアじゃないよね」と不安になりました。


バベシア症、有効な治療法も確立されていませんし、
一生見たくない病気なので、皆さんちゃんとマダニ駆除してくださいね。



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よくある話

2018年06月03日

 ハナノカイヌシ at 11:25  | Comments(0) | 病気の話
先日、夜更けにお電話いただいた話。

お子さんがわんこさんを抱っこしようとしていたら、
急にきゃんと鳴いて、それから足を付けないということ。

結構あるんですよね。

お散歩中とか、ちょっとトラブルがあって
ワンちゃんが足をちゃんと地面につけなくなった。

飼い主さんが慌てて病院に連れてきたら、
病院では普通に歩いている…。ってこと。

私たち人間も、何かで足をひねって、
すぐには足を着けないくらい痛くても、
10分もたつとまあびっこひきながら歩けるようになって、
一時間もすると痛めたことも忘れてるってこと、ありますよね。

病院に来ると、緊張するから頑張って歩くけど、
おうちに帰ったらまたびっこひいちゃうってこともあるんですが、
まあ、気を張っていれば普通に歩けるということは、
痛いのは痛いんでしょうけど、その程度の痛みってことで
安静にしていたら自然によくなるかと思います。

ワンちゃんが急にびっこを引き出したら、
まずは落ち着いて、傷がないか確認、
半日くらい(無理なら1時間くらい)様子を見て、
それでも足をつかないようなら病院でもいいのかな~と思います。

この時も、お話を聞いて、
情況的に大きなトラブルの可能性は低いなと思ったので、
朝まで様子を見るように勧めていたら、
翌日、まだちょっと痛そうだけど、
足をついて歩けるようになって
昨日よりはずっと良くなったとお電話があったので、
そのまま安静にして様子を見てもらうことにしました。


ちなみに、当院では当院の患者様
(カルテがある方ではなく、継続的に当院にかかっていただいている方)
に関しては時間外でも可能な限り対応するようにしていますが、
(外出していたりして対応できないこともあります。)
当院の患者様以外はお断りしていますし、
電話をおかけ直しすることもしませんので、ご了承ください。
他院の患者さんまで時間外対応するのは、体力的に無理です。



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しつこく腎不全の話

2018年04月22日

 ハナノカイヌシ at 10:34  | Comments(2) | 病気の話
ちょっと前のお話。
当院に通っていた腎不全のネコちゃんがしばらく来ないなーと思っていたら、
ボロボロな状態でやってきました。
話を聞くと、別の大きな病院へ通っていたけど、
不信感を感じることがあって戻ってきたということでした。

そうね、うち、小さな病院だから、
大きな病院のほうが安心と思う飼い主さんの気持ちは理解できます。
でもね、転院して1年半、一度も血液検査してもらってないって…( ;∀;)。
(戻ってきた理由はそれではない。)
もっと早く「この病院おかしい!!」って気づいて~。

いくら基礎疾患として腎不全を持っていても、別の理由で吐くことだってあるでしょ。

それでなくても、腎不全の進行具合によって、どんな治療が必要になるか変わるでしょうし。

残念なことに、この猫さんは来院された時点で腎数値が振り切れ、
極度の貧血、乏尿を起こしていて、さすがにどうにもなりませんでした。


慢性腎不全の治療はまずは処方食や活性炭の投与、
血管拡張薬(種類はいろいろありますが)の投与、
脱水が出てきたら皮下点滴、
脱水の程度により、最初は間隔をあけてですが、最終的には毎日必要になります。

腎不全が進行してくると貧血が起きてきます。
まずは鉄材のサプリメントなどを利用して貧血の進行を食い止めます。
それでも貧血が進んでしまった場合、造血ホルモンの注射を行います。

高リン血症を起こすようにもなってくるので、リンの吸着剤。
低カリウム血症を起こしてしまうようなら、点滴にカリウムを添加したり、
カリウム剤の内服。

毎日点滴しても腎臓の数値が下がらず上がってきてしまうようなら、
うちの病院の場合、猫ならホモトキシコロジー、
犬ならアゾディルの使用を考慮します。


もちろんすべての治療をすると費用的にもかなり掛かってしまうようになるので、
優先順位を考えて、どこまでの治療をするかなどを飼い主さんと相談し、
血液検査はできるだけしないということになる場合もありますが、

基本的には腎不全の治療は定期的に血液検査をしつつ、
進行段階や症状に対応した治療をします。


「医者選びも寿命のうち」という言葉があるそうです。
犬猫に関しても本当にその通りだなと思うことは多々あります。

動物病院選び、難しいと思いますが、
やはり飼い主さんがある程度勉強して予備知識を持っていることが
とても重要になると思います。

ちょっと大変ですが、大事な家族を守るために
飼い主さんたちには頑張っていただきたい思います。




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腎不全(?)の話の続き

2018年04月15日

 ハナノカイヌシ at 16:13  | Comments(2) | 病気の話
先日のお話、要するに言いたいことは、
「尿素窒素(BUN)が上がっているからと言って、
問題が慢性腎不全(だけ)とは限らないんですよ」ということ。

(注)BUN(血中尿素窒素)とはたんぱく質の分解産物で、本来は尿として排出されるもの。
腎機能が衰えるとBUNは高くなります。
血液検査ではこれとCRE(クレアチニン)を合わせて腎機能の評価をします。

それなのに、転院症例を見ると、体調不良でBUNが上がっていると、
「はい、慢性腎不全。飲み薬と処方食と点滴ですね~。
改善しない?腎不全だから仕方ないね~。
吐いちゃう?腎不全だから仕方ないね~。
痙攣出た?腎不全だから仕方ないね~。」
みたいな診療を受けている患者さんが結構いる様子。

確かに慢性腎不全は治すことはできず、徐々に進行していく病気です。
ですが、併発疾患に対するケアをして、
進行具合に合わせたサポートをしてあげることで、
その進行を遅らせたり、不快症状を軽減したりすることはできます。

慢性腎不全があるとき、高血圧を併発していることは比較的多くあります。
高血圧があると、血管の塊である腎臓はダメージを受けやすく、
腎不全の進行が速くなります。

「最近やたらと鳴いてうるさい」などというとき、
血圧を測ってみると高血圧が見つかることが結構あります。
高血圧による頭痛がつらくて鳴いているのではないかと言われます。

猫さんの血圧測定は難しく、逃げようとして動き回ってしまう子、
尻尾ではかろうとしたら尻尾をブンブン振っちゃう子、などなど
測りたくても測れない子もいます。
でも、とりあえずチャレンジはするようにしています。

慢性腎不全に続発して高血圧が起こっている場合、
腎不全の治療で血圧も落ち着くこともあるので、
腎不全の治療を行ってみて、まだ高血圧が続くときには降圧剤を使います。

また、慢性腎不全は高齢で発症することが多いので、
高齢猫さんに多い病気を併発することもあります。

多いのは甲状腺機能亢進症。
妙に活発になる、やたらと鳴く、ご飯を食べているのに痩せてくるなどの症状が出ます。
甲状腺機能亢進症でも高血圧を起こすことがあります。
甲状腺機能亢進症による高血圧は甲状腺機能亢進症を治療しないと
降圧剤だけでは反応が悪いことがあるので、
高血圧があって、降圧剤を使っているのに反応が悪いときには
甲状腺の検査をしたほうがいいかもしれません。
甲状腺の治療には、療法食での治療とお薬による治療がありますが、
甲状腺を治療するとかえって腎数値が悪化することがあります。
また甲状腺機能亢進症のお薬では、
食欲不振などの消化器系の副作用が出ることが比較的多く、
腎不全が進行している段階では実際には治療が難しいこともあります。

また、心不全(猫で多いのは肥大型心筋症)を併発しいると、
点滴をすると胸に水がたまったりしてかえって苦しくなることがあります。
この場合、治療はかなり困難になりますが、
心不全を治療しながら心臓の負担にならないように腎不全の治療をしていくしかありません。
また、高血圧で心臓に負担がかかり、心不全症状が出ていることもあり、
この場合は高血圧を治療することで心機能が改善し、
うまく維持できるようになることもあります。やっぱり血圧チェック大事ですね。

また、腫瘍性疾患からくる腎機能低下ということもあります。
腫瘍性疾患となると治療が難しい場合も多いですが、
早めに見つけることができれば治療につながることもあります。






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腎不全(?)の症例

2018年04月08日

 ハナノカイヌシ at 16:13  | Comments(0) | 病気の話
一つ目
「一週間前から食欲が落ちてきた。今日嘔吐した。」とのことで来院。
血液検査をしてみると腎数値がBUN約60㎎/dl Cre2.6mg/dl
吐き止めと皮下点滴をして、翌日は元気も食欲も出たとのこと。
もう一度皮下点滴をしておいた。

3日後まだ調子がいまいちとのことで来院。
確かに腎数値はちょっと上がっていたけど、
大した数値でもないのにおかしいなと思っていたら、
何やら片側の腎臓が大きい。

初診時にもおなかは触っていたはずなのに、見落としたのか、3日で大きくなったのか…。
細胞診するも細胞取れず。

皮下点滴を続けてもやはり改善が思わしくないので、
3日後に細胞診を再チャレンジすると、今度は細胞が取れ、
病理検査で悪性リンパ腫の診断が下る。

飼い主さんと相談し、抗がん剤治療は行わず、
ステロイドと皮下点滴で治療していくことに。

2か月ちょっとの闘病で亡くなりました。


二つ目
他院からの転院。
食欲が落ちて吐くため病院に連れて行くと、腎不全と診断された。
皮下点滴を受けたが、呼吸が苦しくなった。
病院にその旨伝えたが、皮下点滴をされるだけで、
呼吸の苦しさは悪化する一方だったため転院。

超音波で見てみると、胸にめっちゃ水(胸水)が溜まってる。
心臓の壁も厚くなっていて、肥大型心筋症がありました。

胸のお水を抜いて、心臓の治療を開始。

腎不全もあるので、脱水の補正は必要で、
気を付けつつ皮下補液をしてもほんの少量でもやっぱり胸水が溜まってしまう。
静脈点滴だと大丈夫だったので日帰り点滴をしつつ、
1か月頑張ってくれるだろうかと思っていたのだけど、3か月頑張ってくれました。


三つ目
「数日前から異常になくようになった。最近痩せてきた。」とのことで来院。
血液検査をすると腎数値上昇 BUN約50㎎/dl Cre2.7㎎/dl
皮下点滴をして飲み薬を出して2週間経過観察。

2週間後、食欲も出て元気も出たというのに体重が増えていない。
血液検査でBUN56mg/dl Cre2.8㎎/dl 
腎不全で血管拡張薬を使ったとき、
初期に一時的に数値が悪化することはたまにあるので、これ自体は気にしない。

でも、体重が増えていないのと、ご飯も食べていて、
消化器症状があるわけでもないのに電解質のカリウムが低値2.8㎎/dlで
改善していないのはおかしい。

ということで、血圧とホルモンの検査をすると、ホルモンの異常と高血圧が見つかり、
高血圧はホルモンの影響からかな?ということで、
腎臓のお薬にホルモンのお薬追加。

一か月後、異常に鳴くことはなくなったとのこと。
血液検査でBUN40㎎/dl Cre2.1㎎/dl カリウムも正常値に
体重も増加傾向 血圧は少し下がったけれども、まだ高めなのでサプリメント追加。

その後猫が捕まらず来院できずに追加検査は3か月後。
血液検査では前回から横ばい。この数値で横ばいならまあOK。
血圧もさらに下がり、ちょっと高めだけど、これならOKという範囲に。
体重も健康だった時に戻りました。

この猫さんの病気は高アルドステロン症。
猫では極めてまれと聞いているのですが、ここ1~2年で3症例くらい見ているのですが…。
本当にまれなのか?


ということで、腎不全というより、高窒素血症(高BUN)のネコさんの症例でした。
なんでこんな症例の話を始めたの?っていう話はまた来週。




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外耳炎2

2017年11月12日

 ハナノカイヌシ at 17:55  | Comments(2) | 病気の話
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なんだか、このネタ書くと、
うちのチャシロがまた外耳炎再発させそうで嫌なんですけど…。

淡々といきましょう。

さて、今回のお話はやっぱり転院してきた猫さん。

1年くらい前から外耳炎で悩んでいて、病院にかかるのは当院で3軒目。
最初の病院さんでどんな治療をしていたのかは不明ですが、
2軒目の病院さんでは、耳垢を培養検査に出して、緑膿菌が検出されていて、
感受性検査に基づいた抗生剤で治療していました。
それでも治らず、当院に転院してこられました。

外部検査にまで出して、ちゃんと効くはずの抗生剤を使っているのに、
全然治らなかったのはなぜでしょう?



それは…



外耳炎の原因が緑膿菌ではなかったから。


え!?って思います?
「だって、ちゃんと培養検査に出して検出されているのに!」って。

実は緑膿菌って常在菌。皮膚にいて当たり前の菌なんです。
なので、培養検査などをして検出されたとしても
本当にその菌が悪さをしているか?の判断が必要になります。

この子の場合、耳垢を顕微鏡で見てみると、
マラセチアという真菌がたくさん出ていて、
緑膿菌らしき桿菌(棒状の細菌)は見つからなかったので、
「外耳炎の原因はきっとマラセチア」ということで、
マラセチアに対する治療をしました。

猫で外耳炎は珍しいですが、
犬ではマラセチアはおそらく外耳炎の原因のトップではないかと思います。
再発は多いですが、点耳薬で一旦はかなりあっさり治ることが多いです。
ただ、単なるマラセチア性外耳炎で、
2つも病院に通って1年以上治らないなんてことは考えにくいので、
何かしらほかに治りにくい原因があるのかもしれません。
それでも、まずは普通のマラセチア性外耳炎の治療をして、
やっぱり治らなければ、その時にまた対応を考えましょう。

と飼い主さんに説明して、点耳薬をお出しして…
3週間で治りましたorz。


耳垢を顕微鏡で見る検査は、一番最初に必ず行うべき基本中の基本の検査です。
かかる時間は数分。
この猫ちゃんはその検査をしてもらえなかったために、
数週間で治る外耳炎で1年近く苦しんだのです。

耳垢検査、転院症例で聞いてみると、してもらってない飼い主さんは結構います。
犬の外耳炎の場合、耳垢検査をしても、だいたいいつもマラセチアがいて、
たまに細菌がいて、どっちにしても抗菌剤と抗真菌剤とステロイドが入った点耳薬を出す。
私もたまに「やる意味あるんか~~い?!」って思いますし、
やらないで済ましてしまう先生の気持ちもわかるのですが…
基本は大事。本当に。
お金かけて小難しい検査をする前に、当たり前の基本の検査ちゃんとやりましょうと思った症例でした。






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外耳炎

2017年11月05日

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最近、外耳炎の転院症例が続きました。
今回紹介するのは、6年近く外耳炎を患っているゴールデンさん。

以前の病院さんでは2日ごとに通院して綿棒で耳掃除をしてもらって…
を繰り返していたのですが、2年くらい通っても治らず、
以降通いのトリマーさん(?)に耳掃除だけをしてもらっていたのだそうです。

耳を見ると、たっぷり膿のような耳垢がたまっています。
顕微鏡で見ると、細菌がたっぷり。
耳掃除をして、一般的な外耳炎の点耳薬を処方して1週間様子を見てもらいましたが、
翌週も同じ状態だったので、耳垢を外部機関に出して細菌の種類の鑑定(培養同定検査)と
どんな種類の抗生剤が効くかの(感受性検査)検査をしてもらいました。

その検査の結果から効果がある抗生剤の点耳と家での耳掃除を指示して、
かなり改善しているのですが…
このお耳を手術なしで完治させるのは難しいのではないかと思っています。
なぜなら、長年の外耳炎の影響で耳の中がかなり狭くなっているから…。
とはいえ、完全に耳の穴がふさがるほどではないので、
まずは内科治療で慎重に経過を見守っているところです。


この子のお耳から検出されたのは緑膿菌。
多くの抗生剤に耐性を持つことが多く、
難治性外耳炎の原因として獣医の頭を悩ませることの多い細菌です。
緑膿菌による外耳炎の原因の一つとして、不適切な耳掃除が挙げられています。

前の病院で綿棒でゴリゴリ耳掃除をしていた(飼い主さんの表現そのまま)ことは、
残念ながら悪化要因になっていたと思われます。

「適切な」耳掃除で耳道内をきれいにすることは、外耳炎の治療上重要なことなのですが、
動物病院での耳掃除が不適切、または不十分で
外耳炎を慢性化または悪化させている例は時々目にします。

綿棒で耳をこするような耳掃除はしてはいけないということは、
私が獣医になったころにはすでに言われていたにもかかわらず、
いまだに綿棒での耳掃除を獣医から受けていたという飼い主さんに時々出会います。

耳掃除は、専用のローションで耳垢を浮かせ、
浮いてきた耳垢をぬぐうというのが正しいやり方です。

ただ、正しい耳掃除をしたとしても、必要以上に行えば
ローションの刺激で耳を荒らして同じように外耳炎の原因になります。

最近ではお手入れのために
お家でワンちゃんの耳掃除をする飼い主さんも多いと思います。
どの程度の頻度で行うのが正しいのでしょうか?
それは…

とりあえず、一切耳掃除するな!

です。

本来、動物の体というのは自然に汚れを除去するシステムが出来上がっています。
多くのワンちゃんは何もしなくてもトラブルを起こしません。
トラブルを起こさないワンちゃんにわざわざ耳掃除をするのは、
ワンちゃんのストレスになるだけではなく、耳のトラブルを誘発する危険もあります。

耳にトラブルのないワンちゃんは耳掃除をする必要はありません。

トラブルを起こしてしまうワンちゃんだけ、耳のにおいが気になるとき、
ワンちゃんが耳をかゆがり始めた時、耳の汚れが多くなってきたときにお掃除するようにしましょう。
その頻度は、ワンちゃんによって様々です。
自分のワンちゃんの様子をよく観察して、必要に応じてお手入れしてあげてください。
また、頻繁にお耳掃除が必要な場合は、
「適切な耳掃除をしてくれる」(←ここ大事)獣医さんに相談して、
刺激の少ないイヤーローションを処方してもらうようにしましょう。


それから、外耳炎は慢性化すると耳道が狭くなってどんどん治りにくくなります。
なかなか外耳炎が治らない場合には、早めにセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。




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手術前後の話

2017年10月29日

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先日(ほかの病院さんで)愛犬さんが手術を受けた方にコメント欄で、
「朝わんこを預けて、午後2時にはお迎え。
傷はむき出しで痛々しいのですが、手術の時ってそんなもの?」
とご質問を受けました。

動物病院によっていろいろでしょうが、
結論から言うと、当院では大体そんなものです。

まず、傷口について。
やっぱり痛々しいので、
飼い主さんにとっては見えないようにしてほしいところだと思います。
むき出しだとばい菌が入るんじゃないかと心配になるでしょうし。
だから、病院さんによっては、ばんそうこうを貼ったりしてくれるところもあるのですが、
当院ではやってません。むき出しのままです。

理由としては、
わんこ、にゃんこの皮膚は毛が生えているから、絆創膏がくっつかない。
くっつくように貼るとはがすとき痛い。
絆創膏かぶれを起こすことが結構ある。
ということが大きいです。

ばい菌が入るんじゃないかということに関しては、
きちんと縫合できていて、抗生剤を飲んでいればその心配はほとんどありません。
おしっことか、雨水がかかった場合は別ですが、
そういうのは絆創膏でも防ぐことはできませんしね。

ご質問をくださった方の場合、お耳の近くの手術ということで、
特にテーピングが難しかったのではないかと思います。



手術時にどのくらい入院するかですが、
これも、どんな体調の子にどんな手術をするかにもよりますが、
皮膚の腫瘤を切除する場合だと、多くの病院さんで日帰りだと思います。

当院だと、午前中にお預かりして4時ころ帰す感じですが、
これは「4時まで見てないといけない」というよりは
お返しの準備(お薬の用意とか)他もろもろの人間側都合で、
麻酔薬の影響は、術後2時間もすればほとんどなくなっています。
(↑どんな麻酔薬を使うかにもよるので、
あくまで当院で一般的につかっている麻酔方法の場合です。)

手術後の入院期間は病院によっても違いますし、
皮下腫瘤の切除で1週間入院したというような話も聞きます。

私は、犬猫の入院ストレスを重く見て、
できるだけ早めにお家に帰すようにしていますが、
入院期間が短ければよい、悪いという話ではなく、
治療方針の問題だと思うので、
そのあたりは病院の先生のお話を聞いて、
急がない手術であればセカンドオピニオンなどももらって、
納得いく手術をしてくれる先生を選ばれるといいと思います。



あづみの動物病院
安曇野市豊科4311-1
0263-87-3095


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