しつこく腎不全の話

ハナノカイヌシ

2018年04月22日 10:34

ちょっと前のお話。
当院に通っていた腎不全のネコちゃんがしばらく来ないなーと思っていたら、
ボロボロな状態でやってきました。
話を聞くと、別の大きな病院へ通っていたけど、
不信感を感じることがあって戻ってきたということでした。

そうね、うち、小さな病院だから、
大きな病院のほうが安心と思う飼い主さんの気持ちは理解できます。
でもね、転院して1年半、一度も血液検査してもらってないって…( ;∀;)。
(戻ってきた理由はそれではない。)
もっと早く「この病院おかしい!!」って気づいて~。

いくら基礎疾患として腎不全を持っていても、別の理由で吐くことだってあるでしょ。

それでなくても、腎不全の進行具合によって、どんな治療が必要になるか変わるでしょうし。

残念なことに、この猫さんは来院された時点で腎数値が振り切れ、
極度の貧血、乏尿を起こしていて、さすがにどうにもなりませんでした。


慢性腎不全の治療はまずは処方食や活性炭の投与、
血管拡張薬(種類はいろいろありますが)の投与、
脱水が出てきたら皮下点滴、
脱水の程度により、最初は間隔をあけてですが、最終的には毎日必要になります。

腎不全が進行してくると貧血が起きてきます。
まずは鉄材のサプリメントなどを利用して貧血の進行を食い止めます。
それでも貧血が進んでしまった場合、造血ホルモンの注射を行います。

高リン血症を起こすようにもなってくるので、リンの吸着剤。
低カリウム血症を起こしてしまうようなら、点滴にカリウムを添加したり、
カリウム剤の内服。

毎日点滴しても腎臓の数値が下がらず上がってきてしまうようなら、
うちの病院の場合、猫ならホモトキシコロジー、
犬ならアゾディルの使用を考慮します。


もちろんすべての治療をすると費用的にもかなり掛かってしまうようになるので、
優先順位を考えて、どこまでの治療をするかなどを飼い主さんと相談し、
血液検査はできるだけしないということになる場合もありますが、

基本的には腎不全の治療は定期的に血液検査をしつつ、
進行段階や症状に対応した治療をします。


「医者選びも寿命のうち」という言葉があるそうです。
犬猫に関しても本当にその通りだなと思うことは多々あります。

動物病院選び、難しいと思いますが、
やはり飼い主さんがある程度勉強して予備知識を持っていることが
とても重要になると思います。

ちょっと大変ですが、大事な家族を守るために
飼い主さんたちには頑張っていただきたい思います。




あづみの動物病院
安曇野市豊科4311-1
0263-87-3095


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